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八幡宮
【はちまんぐう】


十和田市伝法寺にある神社。旧村社。祭神は誉田別尊。伝法寺八幡宮とも呼ばれ,国道4号西側の小高い丘に所在する。元来は照林山清水寺と号する寺院で,千手観音を本尊とし天台系本山派修験が奉仕していた。寛文4年八戸藩設置に伴い,伝法自社を知行していた津村伝右衛門は八戸藩家老として分士になり,津村氏は本尊千手観音を八戸に移した(八戸市是川の清水寺)。そのため当地の清水寺には観音音のみが残されたといわれ,宝暦5年地面堂社書上帳(多門院文書)に「観音堂」と記されている。延享3年霞小村割渡指置覚(同前)によると,伝法寺・泉田・廿(はだち)(羽立)・たかこ4か村を霞場とし,別当は定善院であった。ところが天明3年の大飢饉により別当一家は餓死,無住となった(同前)。しかし文化9年の神社書上覚には「八幡宮」と見える。その後同13年には藤しま・小やま・和しまを霞場に加えて7か村を支配するようになり,自正坊が別当を務めている(同前)。天保10年に再び無住となり,以後衰退していった。明治6年廃社。同8年社名を八幡宮,祭神を誉田別尊として復社し,村社に列した。文化10年の月次祈祷日覚(多門院文書/十和田市史)には4月15日の神事が記されるが,現在例祭は9月15日。天台山伏によって作られた北郡三十三観音巡礼の第4番札所にあたっていたところから,清水寺に納められた巡礼札が現在工藤家に残されている(北郡修験道史の研究)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7012405