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馬暦神社
【ばれきじんじゃ】


三戸郡三戸町川守田にある神社。祭神は保食命。寛保3年ペルシャ(イラン)馬を埋葬した地に碑を建立し,馬頭観世尊として祀ったのが始まり。蒼前神社と称し,安政3年の三戸通神社仏閣地名書上帳には「蒼前堂」とある。昭和21年現社名に改称。享保10年8代将軍徳川吉宗に対し,オランダ人がペルシャ産の名馬を献上した。幕府はこの馬を盛岡藩に下付し,藩では種馬として住谷野(南部町)に放ち馬匹の改良を図った。しかしこの名馬は9歳で死んだので当地に埋葬し,墓印として三葉の松を植えた。すると墓印の松は枝を西に向けて伸びたので,人々は馬が西方の母国を慕っているのだといい,馬の神として参拝する者が絶えなかったと伝える。寛保3年になって,野馬別当を務めたことのある石井玉葉が追善のため高さ103cmで長卵型の石裂を建てて弔った。碑には表に「奉新造馬頭観世尊,寛保三癸亥天二月十七日」,側面に「鹿毛二白九歳長四尺九寸五分異国春砂」,裏に「唐花のみちのくに散る春砂哉」「こ野花や住谷に開く春の駒」と刻まれている。春砂はハルシャと読み,ペルシャのこと。馬匹の改良は結局成功しなかったようだが(南部馬史),この碑は唐馬の碑と称され,わが国における外国馬に関する最古の史料として有名(県指定史跡)。現在でも馬の守護神として信仰され,正月16日には参拝の人馬でにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7012481