袰月
【ほろづき】

旧国名:陸奥
中世では両翼突とも書いた。津軽半島の北端,袰月川下流域に位置する。北は津軽海峡に面し,南に平館(たいらだて)山地が広がり,集落は海岸線沿いに発達する。地名はアイヌ語に由来するとされるが,不詳。当地の海岸を舎利浜といい,古くより舎利石で名高く,「津軽一統志」には「今別石,縨月〈二邑共外浜之海辺也,三才図絵保呂豆木〉,此地希代之生美石,工人琢磨為珠,其質頗似瑪瑙,小者名舎利石,攸是而凝信者必分形而増其数」とある。また,古川古松軒も「東遊雑記」の中で「母衣月浜といえるは,世に舎利石と称する奇石の出る浜なり,このゆえに土人舎利浜ともいふなり,その石うつくしきこと,伊勢真珠を見るが如く,光り渡りて透き通ること,水晶よりも明らかなり,人びと劣らじと尋ね拾いしに,上品の石はたくさんにもあらず,予もかくなんようよう百粒ばかり拾いぬ,土人舎利母石と称する石あり,この石を見るに,右の舎利石を限りなく孕みてあり,舎利母石は海底にあるゆえ,たやすく得がたし」と記している。考古学上の遺跡としては,縄文晩期の袰月洞窟遺跡があり,主な出土品は石器(ひすい製匂玉)・縄文土器片などがある(県遺跡地名表)。
【両翼突(中世)】 戦国期に見える地名。
【袰月村(近世)】 江戸期~明治9年の村名。
【袰月(近代)】 昭和30年~現在の今別村の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7012878 |





