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岩手山神社
【いわてさんじんじゃ】


岩手郡滝沢村柳沢にある神社。旧県社。祭神は大穴牟遅命(おおなむちのみこと)・宇迦御魂命(うかのみたまのみこと)・倭建命(やまとたけるのみこと)。秀峰岩手山の山頂を「御殿」と呼び,ここに岩鷲大権現の奥宮が祀られ,麓の登山口に3か所の遥拝所が設けられた北奥羽随一の霊山。遥拝所は東方に柳沢口新山堂(当社),南方に雫石口新山堂(現雫石町長山の岩手山神社),北方に平館口新山堂(現西根町平笠の岩手山新山神社)で,それぞれ岩鷲山を山号とした。当社の創建年代は未詳だが,社伝では延暦20年坂上田村麻呂が蝦夷征討の功成って3神を勧請し,国土の守護神としたことに始まるという。その後,工藤行光が源頼朝から岩手郡三十三郷を与えられ,また岩鷲山へ奉斎する阿弥陀・薬師・観音の三尊像を賜り,大宮司に任ぜられたという。行光の岩手山登拝は建久元年で,以後南部氏の進出まで工藤氏の奉斎が続いたともいう(日本の神々)。また南部氏は岩手山を領国鎮護の総鎮守社と定めて深く信仰して三方の登山口別当を優遇し,寛永10年柳沢新山堂の別当地として盛岡に大勝寺を開創,羽黒修験僧行海を住持とし,寺領111石余を給した。明治2年神仏分離により,権現号と本地仏の3尊を廃して,現祭神3柱を祀り,現社名に改称した。明治4年郷社,大正5年県社に列せられた。例祭は7月7日。かつては岩手山のお山駆けと称して,7日間精進潔斎をした男子が登拝し,山頂から持ち帰った護符とハイマツを竹串につけ,田畑に立てて五穀豊穣を祈る慣習があった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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