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国道
【こくどう】


 国道4号 東京~青森市間を結ぶ国道。馬淵川および北上川沿いを南北に走る奥州街道(陸羽街道)を中心とする。昭和33年6月2日指定。延長583.9km。産業や文化を運ぶ大動脈であることは奥州街道時代と全く変わらず,むしろ,その役割はますます大きくなっている。1960年代,モータリゼーションに対応した本格的な改修工事が取り上げられ,幅員を拡張,バイパス工事によって奥州街道時代の面影を一新した。その後,交通量が大幅に増加。昼間12時間の通過台数は仙台~盛岡間7,000~1万台,盛岡以北3,000~5,000台となり,昼間に対する夜間の車の通過指数は仙台~北上間,盛岡~八戸間とも1.30以上と夜間交通の多い地区となる(日本地誌3)。当線から三陸海岸方面に向かう路線には,一関市から宮城県津山町に向かう国道342号,水沢市から大船渡市に向かう国道397号,北上市から大船渡市に向かう国道107号,花巻市から釜石市に向かう国道283号,盛岡市から遠野市に向かう国道396号,盛岡市から宮古市に向かう国道106号,盛岡市から久慈市に向かう(実質的な分岐点は岩手郡岩手町)国道281号,二戸市から久慈市に向かう国道395号,一方,当線から奥羽山脈を越えて秋田県に向かう路線に,一関市から秋田県横手市に向かう国道342号,水沢市から秋田県十文字町に向かう国道397号,北上市から秋田県本荘市に向かう国道107号,盛岡市から秋田市に向かう国道46号,盛岡市から秋田県大館市に向かう国道282号がある。 国道45号 仙台市と青森市を結ぶ国道。三陸海岸沿いを南北に走る浜街道を中心とする。昭和40年3月29日指定。延長438.2km。昭和47年に全線舗装工事を完了。これと並行して行われた鍬台・石塚・鳥谷坂をはじめとする諸トンネル,槙木沢橋その他の橋梁工事の進行によって面目を一新。沿岸諸港から水揚げされる諸水産物の輸送路として,また風光明媚な海岸を結ぶ観光路線としての機能を高めている。東北の諸路線の中で最高の交通量の増加をみている。この路線を基点に北上山地を横断する路線に,陸前高田市から分かれる国道284号・343号,大船渡市から分かれる国道107号,釜石市から分かれる国道283号,宮古市から分かれる国道106号,久慈市から分かれる国道281号がある。 国道46号 盛岡市と秋田市を結ぶ国道。奥羽山脈を横断する秋田街道にほぼ一致する。昭和33年6月2日指定。延長88.3km。秋田県仙北郡と岩手郡を結ぶ仙岩峠は旧道時代からの交通の難所。昭和39年北西の国見峠を越える国道46号が完成。パークラインの愛称がつけられ,盛岡~田沢湖間をバスが運行されたが,冬季の通行に支障があった。しかし,昭和51年10月,仙岩峠の下を通る2,544mの仙岩トンネルが開通し,この問題が解決。東の国道106号と結んで,太平洋と日本海側を結ぶ北日本の代表的な道路となり,産業と文化の交流が期待される。雫石(しずくいし)町の町通りから主要地方道盛岡横手線が分岐する。 国道106号 盛岡市と宮古市を結ぶ国道。北上山地中央を横断する閉伊街道にほぼ一致する。昭和40年3月29日指定。路線の改修工事は12年の歳月と280億円(昭和53年換算で390億円)の巨費をもって53年11月完成。19のトンネルと41の橋の建設により,従来の延長108.5kmが95.9kmに短縮。それまで4時間以上を要した車での所要時間が1時間50分となる。国道46号と結んで,太平洋と日本海側をつなぐ北日本の代表的な横断道路となる。宮古魚市場に水揚げされる3万tの魚類ならびに生鮮食料品を大型保冷車によって東北自動車道と直結して東京市場に輸送するとともに,標高700mを超える川井村区界高原で生産する高原野菜の送り出しを可能とする。またこれによって宮古周辺が盛岡の2時間以内の商圏内に入り,盛岡と宮古の商圏の競合が問題となる。現在,県北バスの106急行が盛岡と宮古を2時間10分で結ぶ。沿線の区界高原・早池峰山,沿岸の浄土ケ浜・重茂半島・船越半島・田老海岸などの観光資源の活性化による季節観光から通年観光への転換が期待される。起点の盛岡で国道4号,終点の宮古で国道45号と連絡する。 国道107号 大船渡市と秋田県本荘市を結ぶ国道。奥羽山脈・北上盆地・北上山地を横断する。昭和40年3月29日指定。延長198.2km。昭和59年4月1日の整備状況は,改良・舗装率ともに100%。太平洋と日本海側を結ぶ産業道路として期待される。奥羽山脈の豪雪への対応策が課題となっている。 国道281号 盛岡市と久慈市を結ぶ国道。北上山地北部を横断する。昭和40年3月29日指定。延長82.7km。中央部は久慈街道・野田街道に重複するが,東と西の道路は近代に入って大幅に路線を変更。東半分は久慈渓流沿いの屈曲の多い道路であったが,近年になって本格的な改修工事を施行。昭和59年4月1日現在の整備状況は,改良率99.5%,舗装率98.6%。路線の改修で,久慈市周辺の石灰岩をはじめとする地下資源を活用する産業,北上山系の畜産業と結合する飼料工場,および森林資源を利用する木材関連工場の振興,沿線沿いの平庭高原を核とするレクリエーション産業の振興が期待される。岩手郡岩手町で国道4号,終点の久慈市で国道45号と接続する。盛岡~久慈間を国鉄特急バスが3時間20分(冬季3時間50分)で走る。 国道282号 盛岡市と秋田県大館を結ぶ国道。奥羽山脈を横断する鹿角街道(津軽街道)に一致する。昭和44年12月4日指定。延長114.6km。路線の改修工事によって国道4号に出る所要時間が大幅に短縮され,盛岡市および中央市場と結合する産業の振興が期待される。 国道283号 釜石市と花巻市を結ぶ国道。北上山地中央を横断する。昭和44年12月4日指定。延長86.7km。釜石街道時代から標高540mの仙人峠が交通の難所とされる。昭和34年の仙人トンネル(全長2,500m)の開通によって大幅に改良されたが,仙人峠を中心に相変わらず急カーブが多いことや峠付近の冬季の路面凍結など残された課題も多い。国道107号が上閉伊(かみへい)郡宮守村鱒沢から南へ,国道396号が遠野市綾織から北へ,国道340号が遠野市の中央から北と南へ分岐する。また,花巻市で国道4号,終点の釜石市で国道45号に連絡する。 国道284号 陸前高田市と一関市を結ぶ国道。北上山地南部を横断する気仙沼街道に一致する。昭和44年12月4日指定。延長42.5km。路面とカーブの改修工事により交通が容易となり,車の通過台数が急増。一関~気仙沼間を県交通のバスが運行。このため一関市の商圏が一段と拡大,周辺町村商店の新たな対応が必要とされる。 国道340号 陸前高田市と青森県八戸市を結ぶ国道。北上山地東寄りを縦断する。昭和49年11月12日指定。延長234km。昭和48年,国道昇格促進期成同盟会が結成されてから本格的な改修がはかられる。昭和59年4月1日現在の整備状況は,改良率70.9%,舗装率84.4%。路線の整備は,北上山系の市町村を結び,林産・畜産を中心とする産業,および文化の向上に役立つことが期待される。陸前高田市大畑で国道343号,気仙郡住田町川口付近で国道107号,遠野市上郷付近で国道283号,下閉伊(しもへい)郡川井村上川井付近で国道106号,岩手郡葛巻町元町付近で国道281号と交差する。 国道342号 秋田県横手市と宮城県津山町を結ぶ国道。奥羽山脈,北上盆地南部,北上山地南部を横断。西寄りが院内街道,中央が石巻街道に一致する。昭和49年11月2日指定。延長137.9km。昭和59年4月1日現在の整備状況は改良率78.4%,舗装率90.4%。太平洋と日本海側を結ぶ産業道路として期待される。奥羽山脈の豪雪の対応策が課題となっている。 国道343号 陸前高田市と水沢市を結ぶ国道。北上山地南部を横断する道路。中央から東は今泉街道に一致する。昭和49年11月12日指定。延長64.9km。現在,大東町と陸前高田を結ぶ笹ノ田峠で,トンネルや路面の改修工事が進行中。昭和65年までに開通の予定。路線のほぼ中央,大東町摺沢の但馬崎から一関市に向かう主要地方道一関大東線(旧今泉街道の西半分)が分かれ,この路線も改修工事中で昭和60年に完成の予定。一関と陸前高田を2つの路線で結べば,現在の車の所要時間2時間10分は,1時間足らず,一方,水沢からは約1時間となり,人と物の交流促進が期待される。 国道346号 宮城県仙台市を起点に同県気仙沼市までの国道。昭和49年11月認定。本県分は東磐井郡藤沢町大籠(おおかご)字下野在家(しものざいけ)16の1から同町大籠字大籠3の1に至る延長1,991m。下野在家付近にはキリシタン殉教者史跡が多く分布する。以前は西郡街道と呼ばれ,昭和29年には主要地方道仙台気仙沼線に認定されていた。 国道395号 久慈市夏井町字鳥谷を起点に九戸郡大野村―同郡軽米(かるまい)町―二戸市金田一字八ツ長までの国道。延長46.2km。昭和57年4月認定。陸前高田市と青森県八戸市を結ぶ国道340号と軽米町役場付近から同町観音林間10kmを重複している。東北自動車道八戸線と軽米町中心部西側で交差の予定。江戸期に久慈侍浜の製塩と内陸の穀物交換をした九戸街道とほぼ同じコースを通る。国道以前は主要地方道で,久慈二戸線(昭和51年10月告示)であった。 国道396号 遠野市綾織(あやおり)町を起点に上閉伊(かみへい)郡宮守村―稗貫(ひえぬき)郡大迫(おおはさま)町―紫波(しわ)郡紫波町を経て盛岡市高崩(たかくずれ)の通称盛岡バイパスの十字路を終点とする国道。延長58.7km。昭和57年4月認定。大迫町の中心部から早池峰国定公園への登山ルートが分岐する。江戸期の遠野南部と盛岡を結ぶ遠野街道とほぼ同じコースを通る。国道以前は主要地方道盛岡遠野線(昭和47年3月認定)であった。 国道397号 大船渡市盛町字権現堂を起点として,気仙郡住田町―江刺市―水沢市―胆沢(いさわ)郡胆沢町を通り,終点の秋田県十文字町に至る国道。本県分は胆沢町若柳生出川までの85.8km。大船渡市の起点から住田町世田米(せたまい)までは107号(盛街道)と重複する。北上山地の種山高原を越え,北上川を小谷木橋で渡河し,水沢市街で国道4号と交差する。胆沢扇状地を縦貫して,栗駒国定公園の石淵ダム北部,焼石連峰の大森山トンネル(全長596m)を経て秋田県へ抜ける。古代から近世までの仙北道とほぼ同じコース。明治32年水沢~秋田県境間が県道となる。昭和25年地方道路整備事業計画のもとに本格的な改修工事が行われ,昭和29年に水沢十文字線,同34年に水沢住田線が主要地方道に認定。同51年10月横手住田線,同57年4月国道に昇格。岩手・秋田両県南部を連絡する重要な道路である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7014556