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呑香稲荷神社
【どんこいなりじんじゃ】


二戸市福岡松の丸にある神社。旧県社。祭神は宇迦廼御霊命(うかのみたまのみこと)・天照皇大神・誉田別命(ほんだわけのみこと)。社伝では承和年間頃に大物忌(おおものいみ)神社(山形県飽海郡遊佐町)の分霊を勧請したのが始まりで,古くは吉平大神蔵と呼ばれ,羽黒修験につながる古社であったともいい,また,もと稲庭岳に祀られていたが,長徳年間頃三十六歌仙の一人源重之の母の託宣で福岡に遷座したという(二戸郡誌)。その後,天正19年の九戸政実の乱の時に,戦乱を避けて津軽に移り,のち二戸郡浄法寺漆沢にあったが,天和2年小保内源左衛門が霊夢によって現在地に遷した。また同年,源左衛門の子孫次郎が京都に上って吉田社家となり,呑香稲荷の神号を授けられた(同前)。神号拝授以来,南部氏が代々崇敬し,社殿の造築や宝物等の寄進があり,大祭は1,000石の格式で行われた。大正11年県社に列せられる。末社には宝永3年建立された江戸麻布の呑香稲荷(現桜田神社)など12社があるという。神事には探湯祭(5月1日),釜鳴式(旧暦正月2日)などが古式にのっとって行われる。また例祭は9月5~6日で,二戸まつりとして,神輿渡御や神代神楽が奉納され,近郷近在からの人出でにぎわう。豊作占い・農作祈願・火防の祈祷など地域住民から篤く信仰されてきた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7015499