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黄金山神社
【こがねやまじんじゃ】


古代の陸奥産金にちなむ式内社名。遠田(とおだ)郡涌谷(わくや)町の東市街を過ぎた字黄金迫(こがねはさま)の地。国鉄涌谷駅から北西3km。国道346号の右傍の山ふところにある。旧小田郡。文化7年の「陸奥国少(小)田郡黄金山神社考」(黄金山神社志料)に「遠田郡涌谷村に黄金挾間(こがねはさま)といえる所のありて,皇国にはじめて黄金の出たるところなりといい伝えたり」とある。「続日本紀」天平21年4月22日(扶桑略記は正月4日)条に「少田郡出だす所の黄金九百両を進む。本朝始めて黄金を出だす」とある陸奥国小田郡産金の地は,この黄金山神社を中心とする一帯の地に比定される(復軒雑纂)。黄金山神社は式内社で,承暦4年閏8月5日,陸奥国司から位階を授け封戸(ふこ)を寄せられるようにとの上申が太政官に対してなされている(水左記)。昭和33年神社境内を発掘調査の結果,奈良期の高坏(たかつき)・瓦・建物基壇と根石4か所等が発見された(天平産金遺跡)。同42年黄金山産金遺跡として国指定史跡となる。神社境内に日本黄金始出地碑(文学博士大槻文彦撰文)と黄金山万葉歌碑(文学博士山田孝雄揮毫)がある。天平産金にちなむ万葉地理の北限の地として知られ,訪ねる人が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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