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小林新熊野社
【こばやししんくまのしゃ】


古川市の北部,宮沢字内林にある神社名。中世長岡郡小林新熊野社。古代末に平泉の藤原秀衡が豊前介実俊を奉行として建立,郡内の荒野30町を寄進した。文治5年の平泉合戦の際源頼朝が保護を命じ,同年長岡(葛岡)郡は畠山次郎重忠が戦功により所領に賜った。正治元年2月社僧が坊領の境界争いを起こし重忠の裁決を求めた。重忠は自領内のことではあるが,秀衡以来の由緒ある神社であるとして幕府に裁決をゆだねた。将軍頼家は問題の絵図の中央に墨で線を引き,今後も境界争いはこのように決めるという決定を下した。重忠が滅んだ後,同地域は大掾(だいじよう)氏に与えられ,建暦元年4月一族の地頭平資幹が神田40町を押領したとして社僧が幕府に訴えている(吾妻鏡)。陸奥所在の熊野社としては,県内名取郡の熊野社,会津の新宮社とともに平安末期まで確実にさかのぼるものとして著名で,特に平泉3代秀衡創建が確かめられる熊野社として貴重である。現在は小林の北の宮沢内林の古墳の上に鎮座している。所蔵の銅造阿弥陀如来坐像懸仏は鎌倉期の作といわれ,県指定重要文化財。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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