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竹駒神社
【たけこまじんじゃ】


岩沼市に鎮座する稲荷社名。京都伏見・愛知県豊川の稲荷と並び,日本三稲荷の1つといわれ,県下では塩竈神社と並ぶ大社で,新旧正月の元朝参りにも参拝者を折半するほど信仰が篤く,初午祭りは特に有名。竹駒は武隈の言い替えで,平安期の歌にしばしば武隈の松と詠まれているのは,この竹駒に当たる。武隈の松は藤原元良なる者が国司に任ぜられた時,「館の前に始めてうへたる松なり」と藤原清輔の「奥儀抄」に見え,このとおりだとすると,武隈はある時期の国府所在地ということになる。武隈にははじめ国府があり,ここから多賀城に移ったとする考えはだいぶ前からある。これは元良の頃よりは古い時期についてのことであり,真偽は不明であるにしても,武隈が,陸奥国政上,ある時期重要な役割を果たした地であることは想像できる。竹駒神社は,その武隈守護の神として勧請された稲荷社と思われる。その時期は,小野篁が陸奥守として下向した承和9年と伝える。竹馬に乗った童子の霊感により武隈を竹駒と改めて別当寺を建てたのが,竹駒の始まりという。「天文段銭古帳」名取分に「たけくまの神しや 夫ちん 三十四貫百五十文 ははき代 六貫五百七十五文 合して四十七貫三百仁十文」とある。「伊達家文書」天文6年7月24日付の伊達稙宗軍役免除状に「竹駒の神領の事,名取小豆郷の内,島在家散田に八貫五百文の所,陣夫の事,之を閣(お)き候」とあり,「竹駒別当坊之」宛てられているから,戦国期には竹駒神社として崇敬・保護を受けていたのである。江戸期,伊達氏の保護を受け,特に2代忠宗の崇敬篤く,大社としての体を定めた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7018252