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御岳神社
【みたけじんじゃ】


栗原郡花山村本沢(もとざわ)萩原45にある神社名。花山村座主(ざす)の北6kmにある御岳山(標高475m)を奥の院とし,座主に拝殿としての里宮を設けていた。座主の地名もその別当所在の地の意味でつけられたものであろう。花山ダム建設に当たり水没地域になるため,昭和32年,現在地に移築。古来,東北における蔵王(ざおう)信仰の霊山の1つとされてきた山で,平泉の金鶏山は金峰山蔵王権現平場(ひらば)の道場,栗原郡花山村の金峰山花山寺は中山岳の修行場,御岳山はその奥の宮とされてきた。大山岳の修行は,栗駒山の烏帽子(えぼし)岳で行う。修験者の修験の場としての名残は,今なお御岳山にあり,東側の花山川の断崖には,当時の鎖渡しの鉄環がさびついて残っており,西側断崖には,凝灰岩をくりぬいた修行の洞窟が多く残っている。明治2年の神仏分離令により,蔵王権現社の名称が禁止され,御岳神社と改称。本尊蔵王権現立像は,金銅製彫像(閻浮檀金)長1尺2寸,昭和3年国宝指定。しかし昭和22年秋祭り終了後,同23年春祭りまでの間に盗難に遭い,所在不明。祭行事の1つに御鉄砲祭りの行事がある。これは領主の仙台藩宿老遠藤家の庇護のもとに始められた行事で,祭日(5月5日に改めた)に,12丁の鉄砲(火縄銃)を月になぞらえて発砲するもので,作試しともいっている。今なお村人たちがそれぞれ持役を分担して,毎年行われている。古い信仰に武家の鍛練と民間の慣行がよくとけあった珍しい行事といえる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7019212