山畑横穴群
【やまはたよこあなぐん】

鳴瀬川南岸近くの大松沢丘陵の南斜面蟻ケ袋字山畑にある横穴古墳群。装飾横穴古墳3基を含む6世紀末から9世紀までのもの。多様な構造の横穴26基から成り,調査された23基のうちに整正された横穴6基と簡略化された小規模横穴8基が含まれる。玄室の立面形はアーチ型12・ドーム型1・宝形1・切妻型2・寄棟型1・不整形6で,台床は3台床3基,2台床1基で残り19基は無台床。副葬品はほとんど前庭部の床面より上の層からの出土で土器類が多く,土師器の坏(つき)・埦(まり)・蓋・高坏・壺・長胴形甕,須恵器の坏・台付坏・蓋・提瓶(ていべい)・平瓶・長頸瓶・長頸壺・短頸壺・広口壺・甕など100点を超えるが,金属器は刀子(とうす)4・鉄斧1・鉄鏃(てつぞく)92・鞘尻(さやじり)1で玉類はない。人骨は4基から合計13体出土したが,埋葬当時のままでなく意図的に整理された状態,閉塞施設は小規模横穴を除いては玄門部と羨門(せんもん)前の二重閉塞である。装飾文様は3基に残る。第1のものは玄室立面アーチ型,奥行248cm・前幅201cm・奥幅166cm・高さ236cm,無縁の3台床の横穴で,装飾は玄室内部の天井に各壁の境界・軒回り・奥壁の中心柱の位置に朱描線がかすかに残る。第2の装飾横穴は玄室立面が整正宝形造りの家形で,隅棟の集まる中心部に径35cmの円形の突出部がある。玄室奥行252cm・前幅255cm・奥幅225cm・高さ206cmの長方形,玄門部奥行64cm・幅100cm・高さ120cm,羨道部奥行438cm・幅190cm・高さ180cmのアーチ型で床面に奥・左・右3つの有縁台床がある。装飾は玄室内周壁と天井,玄門部の前壁面にある。玄室内壁面の隅棟・軒回り・隅柱に当たる部分に朱描線があり,玄室奥壁の上段に3個,下段に4個の同心円文(32~28cm),その周囲に数多くの珠文が描かれている。玄室左壁には2個の同心円文と20個の珠文(8cm),同右壁に2個の同心円文と10数個の珠文,同前壁に玄門部両側に同心円文と多数の珠文,玄門前壁に珠文が描かれている。第3の装飾横穴の玄室立面は整正アーチ型,奥行182cm・前幅188cm・奥幅169cm・高さ140cm,床面左右に有縁台床があり,枕部に低い段がついている。玄門部は奥行75cm・幅75cm・高さ100cmのアーチ型,羨道部は奥行約400cm・幅137cm・高さ137cmのアーチ型。玄室内の朱彩は最も鮮明で,奥壁の他壁との境界,梁部分,ほぼ中段を横に,中央部を竪に太い朱描線が描かれ,梁部分空間の左側に2個,右側に1個の同心円文がある。玄室左右壁・前壁には奥壁同様の柱を表す朱描線があるが,円文や珠文はない。山畑横穴群の装飾文様は古拙な同心円文や珠文・線描であるが,東北地方初の例として注目され,昭和48年国指定史跡となり,現在は埋め戻されて芝を張り保存に努めている。「山畑装飾横穴古墳群発掘調査概報」宮城県教育委員会(昭48)がある。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7019446 |





