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大日孁貴神社
【おおひるめむちじんじゃ】


鹿角(かづの)市八幡平(はちまんたい)小豆沢(あずきさわ)鎮座。祭神は天照大神ほか11柱。社殿は昭和24年火災に遭い翌25年の建築であるが,古式により1辺18mの方形で天井の高さ23m,中に3.8m四方の舞台が設けられている。また古称大日堂というこの神社の社伝は非常に古く,継体天皇の時代にこの里に住む夫婦が蜻蛉(とんぼ)(方言だんぶり)の導きで美酒を発見,これを求めて来泊する人々の炊飯のため米をとぐ汁で河水が白くなり米白(よねしろ)川の名が起こるほど繁昌して「だんぶり長者」になり,大日孁貴神に祈願して女子を生み,この女が都にのぼって吉祥姫の名で継体天皇の寵を得て菟皇子(うのおうじ)の生母となり,のち帰郷して亡父母のために神社を建立した。それが継体勅願大日堂の創祀だという。この「だんぶり長者」の伝説は大日如来を伊勢神宮の本地仏とする神仏習合説以後の成立であると認められるから,修験道によってこの地に適合させ,形成されたものであろう。神社の側にそびえる五宮(ごのみや)岳は菟皇子(五宮)をまつるといい,修験の登山行の場でもある。神社には国の文化財に指定されている「大日堂舞楽」が伝わる。正月2日に小豆沢・大里・長嶺(ながみね)・谷内(たにない)の4集落から35人の楽人・能人が奉仕する。約1か月の斎戒沐浴の上,元日夜半丑の刻から早暁まで豊作予祝行事をしたのち,各村落から夜明けの道を行列で大日堂に到着。若者たちの竜神旗奉納などのあと,古式の服装によって伝来のとおりに神子舞・権現舞などが次々に奉納される。社前には杉の巨木があり,200mほど離れた吉祥院(吉祥姫菩提寺という)にも樹高35mもあるイチョウの木がある(秋田の土と人)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7020228