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月山神社
【がっさんじんじゃ】


鹿角(かづの)市毛馬内(けまない)鎮座。祭神は月読(つくよみの)命。社伝では,坂上田村麻呂が征夷大将軍となって蝦夷征定に成功したのち,大同2年に7つの月山神社を建立したが,その1つがこの月山神社で,鹿角地方の総鎮守として広い崇敬を受けた。別当は真言宗広増寺で,祭礼は隔年6月13日であった(鹿角縁記)。毛馬内は古代に上津野(かづの)といわれた盆地の1つの中心地で,中世には毛馬内備中の館が築かれ,近世には戦国期に入った南部氏一族が2,000石の領主となっていた。月山神社の近くには毛馬内の名山茂谷山(362m)が位置する。大正14年県社。現在の例祭は7月13日。またもう1つこの社にまつわる説話を持つ神社がある。同市大湯の猿賀神社である。仁徳紀に,そむいた蝦夷を鎮撫するため派遣された将軍田道が伊寺水門(いじのみなと)で戦死したことが記されるが,伝えでは,伊寺水門とは大湯の石野の寺の坂あたりで,部下がその場に葬り塚にしていたのを,田村麻呂が月山神社と同時に,田道将軍塚を猿賀神社とした(鹿角郡根元記)。猿賀神社という名は社前の石に刻まれた三猿によるといい,三猿は田道将軍の敗戦を「見ざる,聞かざる,言わざる」ということであるという。現在の社殿は元亀3年の創建といい,例祭は5月29日・10月29日である。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7020455