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上浦郡
【かみうらぐん】


旧国名:出羽

(中世)戦国末期に見える出羽国の郡名。仙北(せんぼく)上浦郡とも称する。初見は天正16年頃とみられる岩屋朝盛書状(藩採集秋田桜田家文書)。もっぱら横手城に拠って平鹿(ひらか)・雄勝(おがち)2郡をおさえた小野寺氏の勢力範囲を指す。群雄割拠の戦国期に,横手盆地の北半をおさえた戸沢氏の勢力範囲を北浦郡と称したことと関連する。太閤検地の際,豊臣秀吉もこの呼称を認め,「出羽国仙北之内上浦郡」の3分の2を小野寺義道に安堵し,3分の1を太閤蔵入地に設定した(小野寺文書)。天正19年,山形の最上義光は秀吉朱印状をもって「仙北三郡之内上浦一郡を下置かれた」と称し,当時郡内の大森城で蔵入地を管轄していた色部長真や当郡の領主小野寺氏と対立している(色部文書)。佐竹氏の秋田藩政下,上浦郡は平鹿・雄勝2郡に復する。しかし通称として,近世を通じて使用。「慶安元年仙北上浦之内鹿内村検地帳」「寛文2年仙北上浦三又之内阿久戸新開検地帳」などの表題や,「佐竹南家日記」元禄8年条に「上浦罷通り山本へも参候」等とある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7020550