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熊野神社
【くまのじんじゃ】


雄勝(おがち)郡雄勝町小野鎮座。祭神は伊邪那美(いざなみの)命・予母津事男(よもつことおの)神。社伝では大同2年に小野小町の父小野良実が建立したという。境内に小町の詠歌堂がある。小町伝説は各地にあるが,この小野では芍薬塚をはじめ多くの伝承遺跡が構造的に配置されていて,6月20日に小町祭(小町堂例祭)も行われている。当社は小野小町の氏神であったというのが伝え。伝説は近世初頭には定着していたらしい。熊野神社も慶長元年に斎藤宅兵衛が建立したというところから由緒がはっきりする(神社名鑑)。天明8年幕府巡見使一行として来秋の古川古松軒も,湯沢で「南二里に小野村というあり。小野小町出生の地とて小庵あり。傍に墳墓もあり」と伝聞を書いている(東遊雑記)。菅江真澄の「雪の出羽路」には「此神はそもそも小野郡司良実の建立也。枝神二柱あり」と記している。枝神のうち1社は黄金の宮で牛頭(ごず)天王がまつられていた。また真澄は,天正頃までは羽場ノ上の西の田の中に壊れて鎮座していたが,文禄に最上義光の雄勝進攻の際焼かれて,今の宮地に移ったものであるとも記している。慶長に社殿を建立したのはその結果であろう。明治6年村社となり,同45年奥殿を設け,昭和34年には社殿を増築した。例祭は8月14・15日である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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