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太平山地
【たいへいさんち】


県中西部に位置し,出羽山地の中央部をなす山地。北部は米代(よねしろ)川,南部は雄物(おもの)川によって,白神(しらがみ)山地・笹森丘陵と区切られる。山地名は主峰太平山に由来。馬場目(ばばのめ)岳・赤倉(あかくら)岳・御衣森(みそもり)・白子森(しらこもり)・大仏(だいぶつ)岳など,周辺部より突出した1,000m級の高峰が連なる。地質はグリンタフ(緑色凝灰岩)の基盤岩石が広く露出する。隆起山地として壮年期の厳しい地形を呈し,岩盤の露出はよく,河谷には削られた基盤の花崗岩類が見られる。第3紀船川階後期以来の隆起地で,基盤山塊周辺では断層によって,基盤花崗岩類とグリンタフ,グリンタフと含油第3系が接触する所が多い。浸食作用が活発で,河谷の削剥が著しい。山の斜面は急崖が多く,河谷には滝が多く,深い峡谷を刻んでいる。少し大きくなった河流は峡谷をなし,仁別(にべつ)峡・三内(さんない)峡・岨谷(そうや)峡などは景勝地として有名。県立太平山自然公園は,地質学的には太平山基盤山塊の北部を占め,基盤をなす複合プルトン(深成岩体)と,その上に累積したグリンタフよりなる。太平山から水源を発する沢川と仁別沢川の合流点に,仁別集落がある。「仁別国民の森」は昭和43年林野庁が明治100年の記念事業として,国民が永く森林の恩恵を受け,その利用を通じて国土の緑化と,林業知識の啓蒙,郷土愛の涵養に役立たせようという趣旨から設定された。特に「みんなの森」には森林博物館・樹木見本園も設置されている。山麓にブナの原生林,秋田スギの天然林があり,奥地にはクマ・カモシカが生息する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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