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台蓮寺
【だいれんじ】


仙北(せんぼく)郡六郷町小安門所在。山号は池中山。浄土宗。本尊阿弥陀如来・観音菩薩。応永年間円誉智貞上人の開山。高野山から布教に下ってきた僧が,この村里に旅の拠点とする院を設定していた。そのためこのあたりの名を高野(こうや)村というようになった。そして院の名は心南院といって,高野山にこの郡の者が参詣の際に泊まる宿坊と同じ名であった。その旅院心南院は台蓮寺の近くにあった。やがて乱世続きのため高野からの勧化僧も下らなくなり,旅院も空院のようになって,台蓮寺の域内に含まれてしまった。現在も台蓮寺山門正面に観音堂があり,慈覚大師作と伝えられる聖観音がまつられている。像は等身大一木造で藤原末期の作ということで,心南院の木像であったものと考えられている。開山円誉上人は応永6年8月示寂するが,鎌倉光明寺から出羽に下向の際に台蓮寺を開いた。中興の照誉理宅上人は永禄の頃京都知恩院に転任の際,白幡2旒を当寺に送った。慶長の佐竹氏入部にあたり,現在地の川内池(かわないけ)に移転した。本尊阿弥陀如来は運慶作と伝えられる。また寺宝の地蔵菩薩像は,弘法大師作といわれているが,もと同町熊野神社の神体であったという(秋田のお寺)。「秋田風土記」にも台蓮寺は浄土宗で,京都知恩院直末であると特記されている。「月の出羽路」では,洪鐘のことを記し,「今六郷の時を撞ちぬ。美妙音也」といっている。




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「角川日本地名大辞典」
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