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東湖八坂神社
【とうこやさかじんじゃ】


南秋田郡天王町天王鎮座。祭神は素盞嗚(すさのおの)尊。もと天王・牛頭(ごず)天王と称し,地名の由来となっている。天王と対岸船越(ふなこし)との鎮守。明治4年の藩庁日誌に「東湖神社」,同8年「東湖八坂社」,同17年に「県社東湖八坂神社」になっている。県社には同14年郷社から昇格した。延暦年中坂上田村麻呂が出雲大社を勧請したとか,出羽郡司良実が建立したとか伝えるが創建は不詳。江戸期にこの社は秋田郡の神社の冒頭に掲げられ(秋田郡村々神社調帳),明治27年の調書では県内に5社しかない「一等社」の第1位に掲げられる名社である。毎年の祭礼で7月7日の「牛乗」と「蜘蛛舞」は有名である。八郎潟と日本海を結ぶ船越水道に舟を2艘浮かべ,櫓を組み綱を2本渡す。酒部屋で潔斎した神人がこの綱の上で数回の宙返りを演ずる。これを見る祭神に扮装した神人が飾られた黒牛に乗り,氏子に支えられて水道の岸に至るのである。終わると酒部屋にもどり翌日帰宅する。この祭礼にはお竹迎え・酒部屋・味噌煮・粕迎え・ふせもの(もやし蒔き)・みず(山菜)取りなど古式の諸神事が一連をなして続く。ことに7月6日のお竹迎えの神事は,脇本の寒風(かんぷう)山から刈り出した竹12本を同地の菅原神社から八坂神社まで迎える。裃に威儀を正した旧二番統人が氏子1人を従えて行い,包んだ竹の束を担いだら肩を換えること,後をふり返ること,口を利くことを禁じられ,神社に着くとお祓を受けて神殿に奉置するなどしきたりが守られている。またもとは県下から馬を飾って参拝した(八郎潟の研究・秋田の土と人)。斉明天皇5年紀に阿倍比羅夫が舟と五彩の帛をもって海浜の神をまつったのがこの地だという伝えもあるが,おそらく地元の人々が昔から八郎潟の神をまつっていたところに,平安期以来修験道のもたらした牛頭天王信仰が習合したものであろう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7021997