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横手川
【よこてがわ】


旭(あさひ)川ともいう。奥羽脊梁山脈中の甲(かぶと)山を水源地とし,平鹿(ひらか)郡山内(さんない)村三ノ又・南郷(なんごう)・筏(いかだ)を通過して,相野々(あいのの)で黒沢川と合流,横手市内の城山下を浸食して,横手市役所前を大きく蛇行,さらに北西流して平鹿・仙北(せんぼく)両郡境を流れて横手盆地の中央水田を広く灌漑し,角間川(かくまがわ)(現在大曲市)で本流雄物(おもの)川と合流している。全長28km。上流部は古来横手山内と呼ばれ,山村地帯で,第2次大戦前から山内杜氏(とじ)と呼ばれる酒造業労働者の出身地として知られる。本流の雄物川と連結する河川交通が慶長頃から盛んで,中継地大保(だいぼ)(大曲市藤木)や角間川船着場を経て土崎(つちざき)港に達していた。山内村方面からは多くの筏流しがあり,横手の下根岸(しもねぎし)には十分一役所を置き,川役銭を徴収し藩の財源とした。江戸初期は水量豊かで水深もかなりあったが,自然流砂で浅くなり,江戸後期の新田開発に伴う灌漑用水の増大により大船の遡行に支障をきたし,文政年間には20~30石積船が主として使用されるようになった。また大洪水がたび重なり,明治27年8月26日には,横手町内で家200軒が流出,死者は数知れずとある(横手郷土史資料)。明治38年国鉄奥羽本線が全通し,河川交通は地位を鉄道に奪われて衰退,昔日の面影はまったくない。石坂洋次郎の小説「山と川のある町」は横手市を流れる当川を題材としたものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7023341