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板谷街道
【いたやかいどう】


福島街道ともいう。米沢城下(米沢市)と福島城下(福島県福島市)を結ぶ吾妻山北麓の街道。天正18年伊達政宗は「板屋通」に対して,米沢から岩瀬太里(現福島県)へ向かう旅人5人の宿送を命じており,伊達氏時代から利用され宿が置かれていたことが知られる(志賀慎太郎氏所蔵文書/県史15上)。江戸期には米沢藩の江戸往来に利用され,板谷御殿が設けられていた。また城米輸送の要衝もあった。米沢から板谷まで5里15町,板谷番所からオホカ沢中まで七曲り上り通28町20間,下り通26町。板谷より伊達郡李平村(現福島市)まで1里34町の道程で,奥州福島領に出た(米沢市史)。板谷峠(755m)は,標高は高くないが険しい副峠があり通行が困難だった。また城米の陸送は二井宿(にいじゆく)街道より高くついたため通行者や荷物輸送は少なく,宿駅の板谷と大沢はそれほど発達しなかった。古川古松軒の「東遊雑記」には「板谷峠と云ひし三里の間嶮しき一筋路にて,一人横たはれば万人を止るのところ」(生活史料3)と記されている。明治13年栗子峠越えの万世大路(ばんせいおおじ)開通後は廃道となった。現在一部が県道板谷米沢停車場線となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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