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小白府街道
【おじらふかいどう】


小滝街道ともいう。山形城下から置賜(おきたま)郡北条郷(現南陽市)の宮内に抜ける脇街道。山形より長谷堂(現山形市),狸森・小白府(現上山市),小滝・荻(現南陽市)を経て宮内に至る。小滝で小滝越と呼ばれる荒砥(現西置賜郡白鷹(しらたか)町)に通じる経路が西に分岐した。小白府街道の中心長谷堂村は白鷹山麓で山形城下より西南約2里に位置した。置賜郡と村山郡との商品流通の結節地として,近世中期以降羽州街道の松原駅(現山形市)とも対抗する有力な存在となった。小白府街道経由で置賜郡内に搬入された主要な物資は塩・繰綿・木綿・海産物などであり,置賜から搬出されたものは幕末期の場合で漆・青苧(あおそ)・紅花(べにばな)・生糸などであった。幕末期には小白府街道を経ておよそ年間500駄の塩が移入された。これは松原より羽州・米沢両街道分のおよそ1,000駄の半分にあたり,小白府街道の存在が羽州・米沢両街道側の宿駅にとって脅威であったことがうかがえる(本沢村史)。このため松原宿の問屋らは公用荷継立てを理由にたびたび長谷堂経由の商荷輸送の禁止を訴えたが,長谷堂側も長年の慣行として譲らず,結局荷主の宰領次第のままで幕末期に至っている。現在小白府街道の山形~小滝間および小滝越えは国道348号となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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