西部街道
【せいぶかいどう】

横山街道ともいう。最上川左岸の谷地（現西村山郡河北町）と大石田河岸対岸の横山（現北村山郡大石田町）を結ぶ脇街道。全長約５里半。谷地北口村から吉田（現河北町），大久保・稲下・白鳥・深沢・富並（現村山市），田沢（現大石田町）を経て横山村に至る。もともと新庄藩の公用荷物の駄送を目的として整備された街道で，ときには新庄藩主が江戸からの帰路にも用いた。近世以降，公道である羽州街道の商人の荷物輸送独占に対し，谷地を中心とする在方荷主らによる抜荷でにぎわうようになった。村山地方最大の特産物である紅花(べにばな)・青苧(あおそ)は羽州街道の５か宿を経由して大石田まで駄送するのが定法となっていたが，荷物が高価なうえ途中の最上川三難所の舟送りが危険を伴うため抜荷が増えた。このため天童（現天童市）～大石田間の宿駅としばしば紛争が生じている。このような抜荷ルートの成長は羽州街道の宿駅を衰退させる大きな要因となった。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7025857