念仏ケ原
【ねんぶつがはら】

月山の東側,立谷沢川の右岸上に形成されている湿原性高原。月山およびその付近では最も古いもので,標高1,000~1,100mに位置する。北西側に東田川郡立川町・最上郡大蔵村の境をなす尾根が走り,南側には濁川源頭の小沢が谷頭浸食をのばし排水路となって,西から南へ流れている。湿地は尾根と排水路的流路との間に分断されて広がり,全体として北東から南へゆるく傾斜している。各湿原の周辺部はミヤマナラ・ミヤマハンノキを主体とする低木林が複雑に茂っている。湿原は月山表参道の羽黒口の8合目にある弥陀ケ原と並んで高山植物の多様性で知られている。代表的なものとして,ワタミズゴケ・ヌマガヤ・ミツガシワ・ミズバショウ・ニッコウキスゲなどがある。また,月山への古い登拝路であった肘折(ひじおり)口コースが通っている。近年湿原の東端に避難小屋が建ち,念仏ケ原の散策に役立っている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7026939 |