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二口街道
【ふたくちかいどう】


奥羽山脈を越え,山形市と仙台市(宮城県)を結ぶ街道。山形城下から平石水・高野(高沢)を経て清水峠(1,130m)を越える道筋と,山寺から馬形を経て山伏峠(934m)を越える道筋があり,二口から野尻・馬場(現宮城県名取郡秋保町),愛子(あやし)(現宮城県宮城郡宮城町)を経て仙台へ通じた。仙台城の背後にぬける要道であったため,整備されることなく,牛馬の歩行も不可能で番所のみがおかれた。荷物は全て人背によったが,峠の西側は沢が深く狭隘なため置石をしてとび渡る有様であった。江戸期には生肴などのほか大した荷物もなく,出羽三山の道者が利用した。明治2年宮城県寒風沢に汽船が入港するようになり,同5年宮城県の大竹徳治・若生儀兵衛が私費1,472円を投じて街道の改修工事を行い運輸の便を図ったため,多くの山形商人が利用した。しかし,明治15年に車馬の通れる関山街道が完成すると,険しく高度もある清水峠は廃道となり,山伏峠も次第に衰えた。現在,蔵王国定公園の域内となっており,二口峠には車の通行が可能な林道が整備され,新緑や紅葉が美しい。また旧道はハイキングコースに適している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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