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山形両所宮
【やまがたりょうしょのみや】


山形市宮町に所在。旧県社。祭神は大物忌大神と月読神。鳥海月山両所宮ともいう。鳥海山・月山両所の遙拝殿。康平6年に源頼義が前九年の役の勝利を感謝して創建したと伝えられる。その後源義経が金売吉次に命じて社殿を改築させたともいう。また最上氏が人心収攬のために創建したとも伝えられるが,いずれの伝承も確証はない。中世以来当地の士庶の絶大な尊崇を集め,祭官は須藤氏が務めた。天正3年祭官須藤氏が中野(最上)義時の依頼で兄義光の調伏祈願を行ったことが発覚したため,最上義光は須藤氏を放逐し,自己の祈願所である真言宗成就院を別当とした。慶長5年の出羽合戦で直江兼続との戦いに勝ち得たのを両所宮の加護と感謝し,社殿を修理して壮麗人目を驚かせたという。最上義光分限帳(山形市史史料編1)によれば,成就院は560石を給され,ほかに里見・田所などの社司21人の給地が129石で,これに社域内諸堂の給地を合算すると実に1,115石を与えられた。慶安元年には幕府より689石が朱印地として認められた。度々の山形大火で諸殿はほとんど焼失したが,神域内の城輪(きのわ)神社社殿は室町様式をとどめ,この扉銘(県史15下)により,天正7年の建築と思われる。天明年間に再建された楼門が人目を引く。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7028077