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隠津島神社
【おきつしまじんじゃ】


式内社。論社として著しい例で,安積・安達郡下に3社が式内社を標榜している。①郡山市喜久田町堀之内字宮に鎮座。祭神は武甕槌神。当地名を角津島・上伊豆島と記録されており,式内社として天保13年再興し,旧県社である。旧別当竜角寺という。②郡山市湖南町福良字山,猪苗代湖を眼下に臨むかご山に鎮座。祭神として多岐都比売命・市杵島比売命・多岐理比売命の宗像3神をまつる。俗にお菅(おすげ)様・菅明神といい,寛永年間保科正之が再興,宝永8年社号を名乗るとし,旧郷社。③安達郡東和町内木幡字治家,木幡山中腹に鎮座。旧県社。祭神は田心姫命・津島姫命・湍津姫命。木幡山弁財天と称し,源頼義・義家が神力により辛勝した木幡の幡祭り伝承がある。中腹の巨岩を背景に丹羽侯建立の大社殿があり,室町末期の三重塔(県重文)が老杉の中にある。露出する大岩壁はいわゆる磐座(いわくら)であり,山頂に蔵王宮があり,立石に祭祀遺跡,続いて山巓尾根山に7基からなる石積みの蔵王経塚(県史跡)がある。蔵王経塚から出土した銅経筒・石製外筒は奈良国立博物館にあり,また経塚からは藤原期の古鏡・常滑焼三筋壺(さんきんこ)・刀子片および灰釉陶器・土師器が出土している。木幡山治陸寺が別当寺で,学頭坊はじめ多くの院坊があった。地名の治家は寺家であり,田屋は他屋である。古くは「三代実録」元慶5年11月の条に見える天台別院弘隆寺(伝白雲山興隆寺)とする。別当寺と神官との論争久しく,明治初年治陸寺は廃寺となったが宝物が多い。山中に国天然記念物の木幡の大スギがあり,全山の老杉は県名勝天然記念物である。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7029715