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国道13号
【こくどうじゅうさんごう】


福島市と秋田市を結ぶ国道。福島市を起点として米沢・山形を過ぎて秋田市に至る。総延長311km。昭和54年には全線舗装され,拡幅・バイパス工事も進み,自動車交通は冬季間を含めて,通年的に確保されている。この路線は福島~米沢間において奥羽脊梁山脈を越えるため,その開設と整備には長年月を要した。福島県としても山形県境から福島市に至る約30kmの約半分は急峻な山地と深い谷であり,ここに道路を開設するのは難事業であった。明治10年以前の福島地方と米沢ないしは山形地方を結ぶ道路には3路線があった。米沢藩の専用道路といってよい米沢街道(米沢・板谷・李平(すももだいら)・庭坂・福島),山形街道(上山・七ケ宿〈湯ノ原〉・茂庭・飯坂・瀬上),羽州街道(上山・七ケ宿〈湯ノ原〉・小原〈下戸沢〉・小坂・桑折)とである。これらはいずれも急坂の峠を越えなければならず,または距離的にも遠く,不便な点が多かった。ここにおいて,明治7年,飯坂から小川筋の谷を登り,栗子山(1,216m)南方を通り,赤浜に抜ける道路を開設する運動が地元の飯坂や中野の人によって始められた。明治10年この道路開削の件が内務省より認可され,福島県では同年7月より着工した。山形県側においては明治9年から着工している。明治14年,栗子隧道(延長864.9m・海抜889m)の完成を待って,この道路は完成した。また,これと並行して,福島市から清水・大笹生を経て,中野堰場に出て,この新道と直結する道路もつくられ,ここに福島・米沢を結ぶ新道が完成し,翌明治15年に万世大路(ばんせいたいろ)と命名された。このため旧3街道は一部廃道となるに至った。万世大路(羽州街道)はその後,第5号国道(大正9年)と改名され,さらに旧国道13号となった。第2次大戦後,自動車交通時代を迎えて,栗子隧道経由の道路はその用に堪えなくなり,昭和32年以降,栗子隧道を廃して,その南の葡萄沢(ぶどうさわ)山(967m)の中腹を抜け,さらに鉢盛山をつき抜ける2つの栗子トンネル工事を含む新路線の建設が行われ,昭和41年までに完成した。福島県内にはトンネルが7つもあるが,全路線が完全舗装され,自動車交通は確保された。福島・米沢間は自動車によれば1時間以内で連絡できる。さらに福島市から飯坂中野に至る区間も昭和50年までには信夫山トンネルの完成を待って全面的に換線された。新道は福島市街地の中心から市街地北部の信夫山をトンネルで抜け,旧国道13号の東側を北西方向へ直行する。この沿線には東北自動車道の福島飯坂インターチェンジもある。このようにして奥羽脊梁山脈越えの難所はようやく克服された。昭和52年現在の自動車交通量は福島県の調査によれば12時間に栗子トンネル入り口付近において約4,700台となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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