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万世大路
【ばんせいたいろ】


「ばんせいおおじ」ともいう。福島市と山形県米沢市を結ぶ旧国道13号。福島市本町で陸羽街道から分岐し,中心市街地を出ると北西方向に直線状に延び,台山のすそに達し,小川の谷筋を登り,二ツ小屋トンネルを経て栗子峠に達する。福島~栗子峠間29km。はじめ福島側ではこの街道を中野新道,山形側では米沢から栗子峠までを苅安(かりやす)新道と呼んだ。この街道開設の建議は明治8年信夫郡飯坂村の有志が行った。当時は飯坂から小川筋を登る計画であった。その後山形県側(置賜県)と協力し,内務省に申請して明治10年5月着工,明治14年9月に完成。同年10月には明治天皇の巡幸を迎えて開通式を挙行,国道3等に仮定され,羽州街道となる(万世大路事業誌)。明治15年2月万世大路と命名された。明治初年福島から山形に入る国道は,伊達郡桑折(こおり)で陸羽街道から分岐する羽州街道(山中七ケ宿街道)であったが,まもなく摺上川筋を登る山形街道に変わった。しかしこれらの街道は車を通すことができなかったので,新道開削が進められ,万世大路の開通となった。この街道が完成する前に計画が変更され,飯坂経由でなく,大笹生経由の直線道路に変更。万世大路開通で山形街道と米沢街道は廃道。明治18年万世大路は国道39号,大正9年国道5号,昭和27年国道13号となる。この街道も二ツ小屋トンネルや栗子峠付近でヘアピンカーブが多く,冬は積雪が多く交通不能になることも多いので峠の高度が300mほど低い新栗子トンネル掘削の工事が進められ,昭和41年完成して,二ツ小屋・旧栗子両トンネル付近は廃道となった。万世の名は福島市万世町などに残っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7033502