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大杉神社
【おおすぎじんじゃ】


稲敷郡桜川村阿波にある神社。旧郷社。祭神は倭大物主櫛甕玉(やまとのおおものぬしくしみかたま)命。一般に「あんばさま」とよばれ,大杉大明神・今宮大杉大明神とも称する。創祀は,社伝によれば神護景雲元年といわれる。縁起によれば,日光山(栃木県)の開祖勝道上人が里人の疫病に苦しんでいるのをみて,大スギの下に大和国大三輪大明神を祀って祈念したところ,疫病はたちまち全快したという(桜川村郷土史料)。延暦15年に延暦寺僧快賢阿闍梨が,東国賊徒誅滅の祈願をもって当地に来訪し,大スギの根元にある神祠の傍らに安穏寺を創建し神徳を奉じて賊徒を平らげる功があったという。別本の縁起には,文治年間源義経に供奉して活躍した常陸坊海存(尊)は,文治5年に当所にしばらく逗留し,里人に庖瘡の流行するのを加持祈祷によって退散させたとある(同前)。社伝によれば,仁治2年に京都紫野の今宮大神を迎えて合祀し,以後今宮大杉大明神とも称したという。享保年間に焼失した青銅製大灯籠は徳川4代将軍家綱の寄進といわれる。別当安穏寺は日光山輪王寺が寺務を兼帯していた。明治元年に安穏寺住僧が還俗して神官となり,安穏寺は廃された。明治6年に村社,昭和16年に郷社に列する。江戸期以来「あんばさま」の信仰が関東各地に流布し,疱瘡の神として各地に勧請された。疫病よけの神であるとともに,河川に沿って信仰が広まっていることから,水上交通の神としても多くの信仰者を集め,結城郡下の河岸問屋の絵馬なども奉納されている。また,県内や遠く福島県の漁村に,アンバサマと称する船祭りの習俗が残ることからも,信仰圏の広さが察せられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7035857