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花園花貫県立自然公園
【はなぞのはなぬきけんりつしぜんこうえん】


県北東部の県立自然公園。西側の多賀山地を中心とした山岳地帯と東側太平洋岸の海岸地帯に二分される。面積は2万4,886ha,北茨城市・高萩市・十王町・里美村にまたがる。最初の指定は昭和28年で,同42・55年に追加指定された。西部は和尚山・花園山・土岳・竪破(たつわれ)山などの山々と,これらの間の褶曲からなる阿武隈高地の南端からなり,高原状の準平原をなす。山地には花園川・大北川・花貫川が深い峡谷をつくり,新緑紅葉が観光の中心。花園山一帯はシャクナゲが群生し,山名の由来になっている。シャクナゲ群落と花園の大スギ・コウヤマキは県天然記念物。花園渓谷には数十mの断崖に大小7つの滝が流れる七滝があって県名勝となっている。花貫渓谷にも憧憬の松・不動滝・名馬里(めまり)ケ淵などの名勝がある。さらにこの山岳地帯には里美牧場・土岳牧場があり,ワラビ・ゼンマイが多く春の行楽に利用されている。ほかに花園神社,水戸藩の別荘天竜院,浄蓮寺および同寺付近の岩壁に彫られた三十三観音像,黒前神社などがある。花園川の水沼ダム,花貫川の花貫ダムは,背後の山と調和して景観を添えている。東の海岸部は五浦(いづら)海岸を中心に平潟・大津から伊師浜に至る南北約20kmで,浸食海岸独特の断崖が入り組んだ景観を呈す。五浦には日本美術院跡,岡倉天心建立の六角堂・別荘,天心記念館,横山大観の別荘などがある。平潟には八幡神社・薬師堂,磯原には野口雨情生家および記念館,天妃山神社,赤浜には長久保赤水の生家などがある。伊師浜海岸は「風土記」に見える「碁石の浜」で,北端のイブキ樹叢は国天然記念物。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7039156