市塙
【いちはな】

旧国名:下野

小貝川上流域，塩那丘陵の南端に位置する。八つ手の葉脈状に低丘陵が延び，それぞれの横谷から小川を集めて小貝川が南流する。はじめ市場縄と称し，承平７年益子氏の一族市花十郎直政が館を平台に築いてから市花と改め，さらに市塙と書くようになったという（市羽村要覧）。館は市花輪館・市花館の名を付す。沖積地を臨む低丘陵縁辺には縄文時代の遺跡と古墳が多い。縄文中期の袋状土壙60余が確認された添野遺跡や前方後円墳諏訪塚古墳，新町横塚古墳，長寿塚古墳は地域を代表する遺跡である。当地ははじめ成田満氏とその一族が支配し，建久年間に千本領となる千本為隆が領したという。中世の城館は「市塙八館」と称されているが，遺構が明確なものは県文化財の村上城，御城・芦原城・山根城・市花輪館の５か所。北城・向館・古館（立）は小字として残る。
【市塙(中世)】　室町期から見える地名。
【市塙村(近世)】　江戸期～明治22年の村名。
【市塙(近代)】　明治22年～現在の大字名。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7040709