内川
【うちかわ】
高原山東麓に発し,矢板市の中央を流れて,塩谷郡喜連川(きつれがわ)町で荒川に注ぐ川。那珂川水系。流路延長36.4km・流域面積68.4km(^2)。源流部は高原山系の剣が峰(1,540m)の東側の八方ケ原の南東斜面にある木芽沢で金精川を合わせ南流し,大江川・中川・宮川などを合わせて,塩那丘陵の間を南東流して,喜連川市街地の南で荒川に注ぐ。上流の八方ケ原は高原火山の溶岩流の上に新第三紀の地層が覆う高原でツツジの名所。高原下部からの湧出水が当川の各支流を生んでいる。内川本流・中川・宮川の合流する所ではやや広い沖積地が広がり,その左岸低位段丘上に矢板の市街地がある。下流右岸には喜連川の市街があるが,これも低位であるため,昭和32年・33年にはかなりの洪水被害を出した。上流は林業が盛んで,山岳信仰の寺山観音,支流の宮川上流には赤滝,寺山の鉱泉もある。中流右岸の崖壁上には中世塩谷城が置かれた。下流の喜連川は旧奥州街道の宿駅であったが,現在鉄道からそれた立地条件だけに近世の面影を残している。同地には被圧地下水があって,町内に自噴井が見られる。当川上流に沿って東北自動車道が走り,中流部を国道4号が横断し,工業団地もできて都市化が進行中。支流の宮川の上流には寺山ダム(堤高62m,堤長260m)が工事中で,洪水調節と塩那丘陵上の用水に供される計画である。
| KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7040818 |