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大前神社
【おおさきじんじゃ】


真岡(もおか)市東郷にある神社。延喜式内社。旧県社。祭神は大己貴命・事代主命。かつては大崎権現などと呼ばれ,現在では「大前さん」が通称。五行川右岸台地上に位置する。五行川沿岸には郡衙跡と想定される塔法田遺跡,郡寺と推測される大内廃寺跡などがあり,この周辺が古代の芳賀郡の中心地であったと考えられる。創祀年代は未詳だが,社伝では神護景雲年間に社殿の再建があったという。「延喜式」神名帳芳賀郡条に「大前神社」と見える。中世になると,真岡に築城した清原氏系芳賀氏の崇敬を受け,大内荘33か郷の総鎮守として繁栄したと伝える。観応3年には芳賀禅可入道高名が太刀を奉納(県文化財)。天正元年11月戦火のため社殿を焼失したが,城主伊賀守高継は文禄2年正月に再建したという。近世に至り,芳賀氏が滅亡した後も徳川幕府・城主の保護を受け,寛永4年城主稲葉正成から祭祀料として除地8石余が認められ,慶安元年には将軍家光から朱印地8石が寄進されたと伝える。宝暦4年に幣・拝殿が再建された(真岡の歴史)。天明3年9月真岡荒町の田中伝兵衛らが銅灯籠を奉納,佐野天明鋳物の風格が残るものとして県文化財に指定されている。別当は,市内東郷にあった千妙寺(現般若寺,真岡市田町)が勤めたが,天文元年に千妙寺が現寺地に移転して以後は,千妙寺末の神宮寺が奉仕したといわれる。明治6年郷社,同10年県社に列格。例祭は11月9・10日。文禄2年正月再建の本殿,拝殿,明徳3年11月隼人佐大江宣村が願主となって奉納した「宋版大般若経」586巻が県文化財。また天正16年城主伊賀守高継が般若寺住職能海和尚に命じて書写させ奉納した「紙本墨書平家物語」は第6の冊が欠けた11冊本であるが,大前神社本といわれ「平家物語」研究の貴重な資料である(県文化財)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7040950