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木幡神社
【きばたじんじゃ】


矢板市木幡にある神社。旧郷社。祭神は正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊。事代主命・田心姫命・大己貴命を配祀する。社伝では,延暦年間坂上田村麻呂が東征の折,この地で山城国許波多神社(京都府宇治市)に戦勝を祈願,凱旋後ここに同社を勧請したのが始まりとする。その後も藤原秀郷,源頼義・義家,源頼朝など武士による崇敬が篤かったと伝える。建久4年に頼朝が那須野の巻狩をした時,愛犬が病気にかかり当社に祈願したところたちまち平癒したとの伝説があり,現在も犬の神様として信仰されている(旧県史3)。社の西方には鎌倉・室町期の土豪塩谷氏の川崎城があり,当社を氏神として尊信していたという。本殿および楼門は室町期の建造で,中世における神仏習合の姿を各所に残している(ともに国重文)。現在当社の下宮に安置されている木造金剛夜叉明王像(室町期作,県文化財)は,神仏分離以前は本殿内にあった。本像は,近世以前の別当蓮光寺が,本寺の日光輪王寺から招来したものと推定されている(矢板市史)。当社は近世初頭に日光二荒山の祭神を合祀したらしく,慶安元年には徳川家より日光明神領として木幡村のうち200石が寄進された(寛文朱印留)。明治3年郷社に列格。花山院宸筆と伝える神号扁額,近世期作と推定される二荒山祭神神像3体,本殿扉に付けられた室町期作の蝉錠など,神宝類は数多い(いずれも市指定文化財)。境内の杉社叢は市指定天然記念物,三十六座の太々神楽は市指定無形文化財。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7041621