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黒川
【くろかわ】


日光市東小来川に始まり,鹿沼市東部を南流して,壬生(みぶ)町で思川に合流する河川。利根川水系。流路延長51.1km・流域面積232.8km(^2)。源流部は日光市南郊の鳴虫山(1,103m)の南斜面にあたり,隔絶された小盆地を形成する。盆地東側が本流で,川名は黒沼と称する沼から発するのにちなむという。西側には西黒川(流路延長11km・流域面積26.5km(^2))があり,両者が合流した後,日光市山口あたりから狭隘部に入り,東流して鹿沼市板荷の谷底平地に出,再び向きを南に変えて,川幅を広げつつ南流,ほぼ並行してきた行(なめ)川を東から合流させ,鹿沼市街地の東部を過ぎ,やや南東に向きを変え,壬生町の南部で思川に合流する。上流部では足尾山地を深く刻み入滝淵や川化(かわばけ)山などの懸崖幽谷を生んでいるが,中流域では堆積が盛んで文挟町(今市市)や鹿沼市には低い沖積扇状地を発達させ,さらに下流部左岸には,高位の鹿沼扇状地がある。小来川地区は降水量も多く,スギ・ヒノキの針葉樹林帯となっており,日光スギの切出しが行われている。板荷地区は近世朝鮮ニンジンの産地で,板荷村人参御用所が置かれ,現在は板荷茶の生産地として知られる。中流の鹿沼市付近は,第2次大戦前大麻の産地で,帝国製麻の工場も当川を挟んで立地し,明治23年には当川の水を利用した水力発電所も設けられた。これは本邦の民間水力発電の嚆矢ともいう。下流の壬生町にあった当川の壬生河岸は思川水系の溯航終点としてにぎわい,特に日光東照宮の造営やその改修のための物資調達に利用された。上流左岸には東武日光線が走り,下流右岸には,かつての日光西街道,現在の国道352号が走っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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