田
【た】

旧国名:下野
思川右岸に広がる沖積地に位置する。地域全体が平坦であるが東の思川寄りには段差の小さい河岸段丘が数か所みられる。東西幅が約700mに対し,南北が約2,500mの細長い土地。北部の惣社寄りに田本郷,東の大光寺と接する所に郷当地(ごとうち),南部の小宅(小山(おやま)市)に寄った地点に古国府の小字名のつく集落があり,それぞれの集落の周辺はすべて水田地帯になっている。小金井街道(主要地方道栃木二宮線)沿いに円墳の丸山古墳がある。古墳の墳丘はかなり削られ,内部玄室に使われた凝灰岩の大きな石は街道沿いに運び出されている。残る墳丘上には観音堂が祀られている。平安期に坂上田村麻呂が東北の蝦夷を平定する際当地に立ち寄り,滞留した折に田村麻呂の守り本尊の観音像を残したが,その像を安置するために堂が建立された。その堂がいま墳丘上に立てられている丸山観音であると伝えられている。地名の田村もこの伝説に由来するともいわれている。田本郷といわれる当地北部には上舘を中心に郷ノ里・日向里・東小路・西小路・宝蔵地など集落や道路・建物に関連ある小字名が多い。南部にも錦小路・旭ノ里・古ケ町・郷当地・大房地など古代もしくは中世に関連を持つと思われる小字名が多い。
【田村(中世)】 鎌倉期~南北朝期に見える地名。
【田村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【田(近代)】 明治22年~昭和32年の国府村の大字名。
【田村町(近代)】 昭和32年~現在の栃木市の町名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7042438 |





