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健武山神社
【たけぶやまじんじゃ】


那須郡馬頭町健武にある神社。延喜式内社。旧郷社。祭神は日本武尊・金山彦命。かつて武部明神と称し(地名辞書),現在では,武茂山神社と書き「ムモサン神社」とも呼ぶ。那珂川の支流武茂川沿いに位置し,当地周辺を本貫地とした那須国造との緊密な関係が想像される。当社の所在する大字健武字武部は「和名抄」の茂武(武茂か)郷に該当するといわれ,古くから知られていた。「日本書紀」景行天皇40年条に,日本武尊の功名を記録するために「武部」を定めたとあり,当地もその1つといわれる。武部は軍事上重要な地域に分布しており,蝦夷を背後に控えた当地および当社が律令政府の関心を呼んだと考えられる。社伝では大同元年の創祀というが詳細は未詳。「続日本後紀」承和2年2月23日条に「武茂神」として従五位下に叙されたこと,砂金を採る山に鎮座していることが見える。近くの金洗沢の地名は,その名残といわれる(下野国誌)。「延喜式」神名帳那須郡条に「健武山神社」と見える。近世になると武茂大権現などと称し,修験の大泉院が別当として奉仕したが,水戸藩主徳川斉昭が領主となると,その神仏分離政策により唯一神道に改められ,武茂郷16か村の鎮守として社領7石が寄進された(旧県史3)。これより先,享保2年には現社号に改称されたと伝える。祭神は近世期には素盞嗚尊だったらしく(神社覈録),「下野国誌」も神主の説として同様である。明治6年郷社に列格。例祭は4月3日。正月14日には,1年間集めた女性の髪を焼く神事(髪焼祭)がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7042562