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中村八幡宮
【なかむらはちまんぐう】


真岡(もおか)市中にある神社。旧郷社。祭神は誉田別尊。中村の八幡様が通称。社伝によれば,天武天皇の白鳳4年諸国に八幡宮を勧請した内の1社だという。また別伝では,前九年の役の時,永承年間に源義家が常陸・下野・上野3か国に8か所の八幡祠を建立し,石清水八幡宮を勧請した。これを八八幡(やはちまん)といい,当社はその1社という。文治5年奥州の藤原泰衡追討のため源頼朝は戦勝を祈り,当地の領主中村常陸介宗村(奥州伊達家祖)も勝利を祈願した。以後伊達家の守護神として崇敬され,建久4年に源頼朝が田33町歩を寄進,建武3年には伊達行朝が社殿を修復,その後宝徳3年には伊達持宗が本殿,拝殿,本地堂などを造替した(旧県史3)。社領は,元和9年水谷伊勢守の検地で没収されたが,慶安元年8月徳川家光から中村の内に5石の社領と山林竹木諸役免除が朱印で認められたと伝える。これより先,寛永2年には氏子によって杉・檜2,400本が境内に植えられた。現在県内有数の大規模な社叢として県天然記念物に指定されている。延宝9年2月伊達綱村は夫人懐妊により,安産祈願のため黄金20枚・金5両を献納し,出産後夫人自身が嫡男の成長を願って願文を奉納した。これは女消息体で書かれ,実子を想う母親の真情が切々と表現されているもので,県指定文化財。天和2年12月社殿再建(本殿・幣殿は現存)。元文元年には伊達吉村が佩刀2振と神馬1頭を奉納し,この年から流鏑馬が行われ今に伝わる。近世期には中村荘12郷の総鎮守といわれる。明治11年拝殿を新築。同40年郷社に列格。例祭は9月15日。流鏑馬神事・太々神楽が奉納される。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7042955