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那須の篠原
【なすのしのはら】


源実朝の「武士の矢なみつくろふ小手の上に 霰たばしる那須の篠原」と詠まれた「那須の篠原」は歌枕としてほかにもいくつかの歌に詠み込まれている。語感から広漠とした那須野ケ原の原野が連想され易い。一般には草深い那須野ケ原の総称といわれるが,黒羽町大字蜂巣地内に篠原という小字があり,付近一帯の原野周辺集落の萱場の入会地であったということ,また建久4年源頼朝が那須野ケ原で勢子数約3,000を集めて20日以上にわたって大規模な巻狩を行い,これにちなんだ地名が旧東那須野村(現黒磯市),旧狩野村(現西那須野町)に残ることから那須の篠原をより具体化しようとするならば,那須野ケ原扇央部の乏水地域から南東へかけての平地林,原野景観が長期間にわたって卓越した地方が該当するのではなかろうか。鎌倉武士の鍛練,人煙まれな自然景観をよく表現する語である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7042989