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日枝神社
【ひえじんじゃ】


日光市野口にある神社。旧村社。祭神は大山咋神。社伝によれば,嘉祥元年慈覚大師円仁が日光山中に常行・法華2堂をはじめ多くの堂社を建立した時,同年7月5日,東国守護のため山王神をこの地に勧請したのに始まる(日光山生岡縁起)。当社南側の畑からは平安中期頃の祭祀遺物と推定される瑞花八稜儀鏡や土師器などが発見されている(日光市史)。中世に入ると,源頼朝から神事料として7か村(平ケ崎・和泉・瀬尾・瀬川・小百・吉沢・所野)が寄進され,生岡平には21の僧坊がたち並び,大日堂(現生岡神社,日光市七里)をも兼持し(生岡縁起),日光山の一翼を担う信仰の拠点として栄えた。しかし,その勢力故に日光山と事を構え,坊舎以下ことごとく破却され,天正年中には,北条氏直に焼き払われ,所領も没収され衰退した(同前)。その後,重要な祭祀は日光山側の手で行われた。江戸期には野口村も東照宮の神領となり,わずかの神地が残されただけであったが,日光山王七社の1つに数えられ(日光山名跡誌),近郷8か村の総鎮守として信仰を集めた(日光道中図絵)。社殿修理等の際には,旧社領の7か村からも助力を得,遷座祭には日光山より衆徒・社家・楽人等約40人が奉仕した(社家御番所日記・日光道中略記)。明治維新後,神仏分離により,社号を日枝神社と改称し,野口1村の鎮守となった。現社殿は貞享元年の建立で,一間社流造,総弁柄漆塗(県文化財)。社宝として「日光山縁起絵巻」5巻などが伝えられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7043346