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八雲神社
【やぐもじんじゃ】


足利市通5丁目にある神社。旧郷社。祭神は素盞嗚命。祗園天王,牛頭天王などと称した。天王様が通称。年未詳の八雲神社由来記(近代足利市史3)などによれば,貞観年間下野国に疫病が流行し数万の民衆が苦しんでいたので,同11年清和天皇の勅で藤原基経が尾張国津島神社から素盞嗚命・奇稲田姫命を勧請し,素盞嗚命を当市緑町1丁目の旧村社八雲神社に祀って牛頭天王上社と称し,奇稲田姫命を当社に祀って牛頭天王下社と称したのが創祀という。「旧県史」2は下野守藤原村雄の勧請というが,貞観年間のこととする点は一致する。天慶3年押領使藤原秀郷が,平将門討伐の大願成就により足利・梁田両郡の総鎮守として崇敬し,久安年間には源義国が子孫繁栄を願って上社に宝物を,下社に500坪の土地を寄進したといわれる(八雲神社由来記)。元禄年間の様子を記した文化9年9月付八雲神社書上によれば足利郡66郷の総鎮守で(近代足利市史),元禄9年には因幡守藤原朝臣宗資が上社に神鏡を奉納したことが知られる(八雲神社神鏡銘文/同前)。同16年社殿を造営したと伝え,現社殿は天保14年のもの。明治2年現社名に改め祭神を素盞嗚命とした。同6年郷社に列格。例祭は7月20日から3日間。かつては6月15日から3日間行われ,その様子は「八雲神社由来記」に「ちやうちん出,別に大小はだかにて,ほふかむりして,新くわうちて,太鼓に合せ,町中相廻る」とある。7月22日には御幣合わせ神事(オカチワタリ)が行われる。これは上下両社の神輿が緑町の下馬橋で会合し,両社の白幣で夫婦和合の所作を行う神事。境内のケヤキ(樹齢約500年),イチョウ(同約400年)は市指令天然記念物。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7044012