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伊香保温泉
【いかほおんせん】


北群馬郡伊香保町にある温泉。榛名(はるな)山北東麓,標高750mにある。源泉は湯街の上,標高850m付近の湯元といわれる渓谷の集塊岩と浮石層の間に8か所ある。現在は昭和22年と同33~34年にボーリングした5本の井戸を主とする。「神道集」によると,6世紀末~7世紀初めの榛名山二ツ岳の噴火の名残ともいう。湯街の起源は「北国紀行」に文明8年尭恵法師,「宗祇終焉記」に文亀2年宗祇の来湯が伝えられるが,天正4年に,里人が領主武田氏からこの地を賜り湯宿を設けたことによる。泉質は硫酸塩泉。湯は酸化鉄により茶褐色を呈する。泉温43~66℃。湯量はボーリング分も合わせて毎分4,000~4,500l。浴用により神経痛・関節痛・リウマチ・慢性皮膚病・慢性婦人病など,飲用により,慢性便秘・肥満症・痛風・慢性消化器病などに効能がある。温泉街の中央にある長さ300m,360段の石段は伊香保温泉の景観を一種独特のものにしているが,交通のネックともなっており,昭和59年に5か年計画で大改修が行われた。ホテル・旅館65軒,収容人員約1万2,000人,年間客数約150万人,県内と関東近県からの1~2泊の客を主とする。最近は泉効とは関係なく,大型バスが直接出入りができる温泉街南西部の新開地が拡大している。明治の文豪徳富蘆花はこの温泉を愛し,代表作「不如帰」の舞台ともなった。晩年は当地で静養し,昭和2年60歳で没した。ゆかりの建物は現在蘆花記念会館となっている。町の南東部物聞山山頂(979.7m)付近には伊香保ハイランドスケートセンターがあり,国体・高校総体などが開催された。ほかに,夢二記念館・伊香保神社・グリーン牧場・ゴルフ場,三国街道の裏街道でもあった当時をしのんで復元された御関所などがある。湯街より南東約3.5mに,坂東三十三か所第16番札所の水沢寺がある。また,榛名山の登山,榛名湖でのボート,キャンプ,スケート,ワカサギ釣りなど,観光資源にも恵まれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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