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井出
【いで】


旧国名:上野

堰塞・堰堤・井堤とも書いた。榛名(はるな)山南東麓,井野川流域に位置する。地名は,泉が湧いたことによるか。近世以前は西部の字元井出(屋敷跡)に集落があったが,元和年間から寛永2年にかけて現在地へ全村56戸が移転したという(上郊村誌)。「万葉集」巻14に「伊香保路の八尺の堰塞に立つ虹の顕ろまでもさ寝をさ寝てば」と歌われている(古典大系)。中世末期は長野氏との関係が深く,元井出に永禄9年武田信玄と戦い19歳の若さで戦死した箕輪城主長野業盛の墓があり,現在も怒り仏と呼ばれている。また,付近には二子山古墳・八幡塚古墳・薬師塚古墳など6世紀前半の前方後円墳があり,近年の調査で古墳の南東1kmに6世紀の豪族居館跡と推定される三ツ寺遺跡があり,古代の上野(こうずけ)国を理解するうえで重要な地域である。
井出郷(古代)】 平安期に見える郷名。
出手(中世)】 戦国期に見える地名。
井出村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
井出(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7044509