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稲含神社
【いなふくみじんじゃ】


甘楽(かんら)郡甘楽町秋畑にある神社。祭神は経津主命・宇迦之御魂神・大山祇神・建御名方命。一宮本「上野国神名帳」に正一位稲含大明神と見える。下仁田町上栗山に奥宮,甘楽郡甘楽町の秋畑に前宮,同町西梅と那須に里宮がある。創建年代は不明であるが,稲含山(1,376m)は県内の当地方では一番高い山で,ここから発生する雷はたいへん恐れられ,古代から自然崇拝の対象として崇められ,やがて大和から東国の開拓に下った物部氏が進出して来ると,雷神としての稲含山と武神の経津主命をあわせ祀ってきたのであろう。前宮は「由緒記」によると欽明天皇庚申の年に創建したとなっている。この神は「上野一宮御縁起」によると,南天竺から飛来した神の供の1人で,他の2人は荒船大明神,鷺大明神になったといい,またこの神は印度国王の姫君で,稲穂を秘かに口に含んできて,もとからこの山にいた神を家来にして住みついたともいう。貫前神社の式年遷宮には稲含山の萱が使用され,貫前神社本殿の雷神小窓はこの山の方向を向き両者の関係の深いことを示している。例祭は古くは4月8日であったが,現在は5月3日で山開きが行われ,この地方の人々が登山参拝をするが,赤城信仰と同じく祖先の霊に合う信仰があった。この日には安政年間に現在の埼玉県本庄から伝わったといわれる神楽が奉納される。秋祭は10月1日で獅子舞が奉納され,1月7日には御筒粥神事があり,五穀豊饒と養蚕の神として今日も篤く信仰されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7044516