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小祝神社
【おぼりじんじゃ】


高崎市石原町にある神社。延喜式内社という。旧郷社。祭神は少彦名命ほか21柱。「三代実録」の元慶4年5月25日条に正五位下小祝神と見え,「延喜式神名帳」の片岡郡1座に小祝神社とある。「上野国神名帳」には正一位小祝大明神と記し,同名のものが群馬東郡に従四位小祝明神,群馬西郡に従三位息災寺小祝明神がある(総社神社蔵/県史資料編6)。小祝は「こはふり」で「はふり」とは神に人間の言葉を告げることをいい,転じて神祇官の役職名となり,大祝は神主の長をいい,小祝はその下役をいう。当社は大祝で,群馬西・東郡の小祝神社は小祝であったと思われるが,「おはふり」が「おぼり」となり小祝の字を用いたもので,東・西郡にある小祝には「こいわい」「こえわい」などと読ませている。小祝神社のある石原町は「和名抄」では片岡郡に属し,渡来人の多い多胡郡・甘楽(かんら)郡に接しており,片岡郡にもこれら渡来人が居住していたといわれる。息災寺はこの氏族の私寺と考えられ,小祝はその氏神と推定される。他にその本拠となる大祝があり,当社も「こはうり」の1社とも考えられるが,神明帳にすでに正一位小祝大明神とあることから,ここを氏神の根拠地と見るべきであろう。小祝神社から観音山に至る広い地域を小祝明所と呼び,この辺一帯が小祝神社の社地であった。古くは小坂山を神奈備として拝殿のみの小祠であったとも伝えられているが,天文年間の三寺尾合戦で兵火にかかり焼失,その後石祠をもって小祝の社としたが,正徳2年に高崎城主間部越前守詮房が社殿を造営した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7044877