100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

甲波宿禰神社
【かわすくねじんじゃ】


渋川市川島にある神社。旧郷社。祭神は速秋津彦命・速秋津姫命・誉田別命・大山祇命。社伝によると宝亀2年に創建されたと伝え,甲波は「川」で,宿禰は「直根」で川の本流を意味し,川を恐れ川を信仰する水の神として祀られた。「延喜式神名帳」の群馬郡に甲波宿禰神社と見え,上野(こうずけ)国式内十二社の1つ。「続日本後紀」によると承和13年に従五位下となり,「文徳天皇実録」では嘉祥3年に官社に列し,「三代実録」によると貞観9年に従五位上,同11年に正五位下,同18年に正五位上,そして元慶4年には従四位下と昇叙している。「上野国神名帳」の総社本に正一位岩根大明神とあるのは,岩は宿で根は禰で甲波宿禰の略称と考えられ当社であろう。同じく一宮本には従一位甲波宿禰大明神とあり,群書類従本には正一位とあり,上野国四之宮として崇敬された。社伝によると戦国期には長尾氏・武田氏・小田原北条氏らの崇敬が篤く,寄進もしている。社殿はもと吾妻川の端に川を背に鎮座していたが,天明3年の浅間山の大噴火により泥流に流され,その後現在地に再建された。明治13年郷社に列格。なお,この地方には「島」の付く地名が5か所あり,その中で川島に甲波宿禰神社が,そして祖母島(渋川市)に武内神社,箱島(吾妻郡東村)に甲波宿禰神社と川の神を祀った神社がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7045142