群馬用水
【ぐんまようすい】

赤城山・榛名(はるな)山・子持山の山麓における大規模な農業用水。田畑輪換灌漑面積296ha。畑地灌漑面積3,443ha。補給水田面積447ha。用水補給水田面積1,407ha。受益総面積5,593ha。関係市町村は前橋市・渋川市・大胡(おおご)町・赤堀町・群馬町・箕郷(みさと)町・榛名町・吉岡町・赤城村・北橘村・富士見村・宮城村・粕川村・新里村・子持村・榛東(しんとう)村の2市6町8村に及んでいる。用水は導水幹線,赤城幹線,榛名幹線に区分できる。導水幹線は沼田市岩本の綾戸ダムの取水口(275.7m)から北群馬郡子持村淵の分水工までトンネルで通水している。延長3,980m。最大通水量は毎秒18.72m(^3)。赤城幹線は赤城村津久田のサイホン橋で利根川を渡り,赤城山の西麓から南麓に通じている。延長3万2,821m。通水量は毎秒1.16m(^3)から8.94m(^3)であり,北橘団地・富士見団地・大胡団地・宮城団地・新里団地が灌漑されている。受益地面積は3,090ha。榛名幹線は子持山麓を経て,渋川市金井のサイホン橋で吾妻(あがつま)川を渡り,榛名山麓の東麓から南東麓に通じている。延長2万3,583m。通水量は毎秒3.50m(^3)から9.70m(^3)であり,子持団地・榛東団地・榛名団地が灌漑されている。受益地面積は2,503ha。団地には,いくつかの分水工や揚水機場があり,それらから支線水路が分かれ,さらに末端の給水路を通じて,圃場が灌概されている。工事は水源を確保するため,利根川上流の矢木沢ダム(水上町)の建設から始まった。ダムは昭和34年に着工し,総工費120億円を費やし,同42年に完成した。また,幹線水路も昭和39年に着工し,事業費115億円を費やし,同44年に完成した。支線水路と末端水路の建設も昭和39年に開始され,事業費36億を費やし,同53年に完成した。用水の完成により農業の土地生産性が向上し,水稲作・野菜栽培・施設園芸・畜産・果樹生産の選択的拡大部門の導入が可能になり,養蚕を主体とする山麓農業は大きく変貌した。米の減反政策や耕地減少による余剰水は,都市化の進展に伴う生活用水の不足を補うため,昭和55年から地域内上水道用水に転用されるようになり,榛名幹線から取水,浄化し,前橋市青梨子町の県央第1調整池を経て,高崎市・群馬町・前橋市の家庭に供給されている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7045324 |





