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神津牧場
【こうづぼくじょう】


県南西部,甘楽(かんら)郡下仁田町南野牧にある日本最初の洋式高原牧場。標高約1,100m。物見山(1,375m)の東斜面に位置し,高原状の台地に広がる。明治20年に長野県北佐久郡志賀村(現在の佐久市)の神津邦太郎氏が官有地274.2ha,民有地24haを借地して開場したことに始まり,その経営は大正10年まで続いた。その後,牧場の所有権は明治製菓(現在の明治乳業)などに移転されたが,昭和20年からは財団法人により所有・経営されている。明治38年にジャージー種がアメリカ合衆国から,エアシャー種がカナダから導入されて以来,ジャージー種の放牧を主体とする牧場として利用されてきた。財団法人になってからは,ジャージー種だけでなく,ホルスタイン種や馬・山羊・緬羊なども輪換されている。現在,放牧牛は140頭前後に及んでおり,その半数がジャージー種である。公共育成牧場としての機能ももっている。受託牛は15頭前後であり,5月17日から10月17日まで1日1頭当たり400円で放牧されている。牛乳やバターの生産は明治22年に開始された。乳脂肪分の高いジャージー牛乳はバターの製造に適し,近年では「神津ジャージーバター」として牧場や軽井沢町で販売され,好評を博している。ジャージー牛乳も珍重され,「神津ジャージー牛乳」として観光客に販売されるとともに,軽井沢町に出荷されている。昭和43年に妙義荒船佐久高原国定公園に指定され,神津牧場ロッジなどの宿泊施設や休憩施設が完備し,搾乳作業も時間によって見学でき,観光牧場としての性格を強くしている。国道254号と妙義荒船林道に近接しているため,5月から11月にかけてのシーズンには多くの観光客が訪れる。牧場からはいくつものハイキングコースがあり,荒船山・浅間山・八ケ岳などが一大パノラマとして眺望できる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7045363