咲前神社
【さきさきじんじゃ】

安中(あんなか)市鷺宮にある神社。祭神は経津主命・大己貴命・保食命ほか６柱。伝説によれば経津主命が建御名方命を追って上州国境の荒船山に出陣した時ここに宿陣した。のち安閑天皇元年に当地に下総(しもうさ)国香取神宮の経津主命を遷座し，白鳳元年に大祭を行い大己貴命と保食命を合祀したという。古くは先宮明神または鷲宮明神と称した。おそらくこの地域に住んでいた物部氏の一族磯部族が崇敬したのであろう。「上野国神明帳」（総社神社蔵／県史資料編６）の碓氷(うすい)郡に従五位咲前明神と記されている。当社は抜鉾神社（貫前神社）の前宮といわれ，抜鉾神社の旧鎮座地と伝える。例祭は10月15日で前夜祭に獅子舞，当日に神楽舞が奉納される。また養蚕の守護神として信仰を集め，４月１・19・28日には農蚕具・種苗などの市が立ち参詣人が多い。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7045517