産泰神社
【さんたいじんじゃ】

前橋市下大屋町にある神社。祭神は木花佐久夜毘売命。創建年代は不詳であるが，本殿の裏側には大石が堆積しているので，もとは自然崇拝の信仰の場であったと思われる。社の南側前方に鳥居の礎石があり，参道もあるので，かつては南面していたのであろう。現本殿は宝暦13年銘の棟札から江戸中期のもので，前橋藩主酒井氏の崇敬が篤く，前橋城の守護神として西向きに建てられたという。社伝によると，前橋藩主酒井氏の奥方が安産祈願をし大願成就した以降安産信仰の中心となり，安産祈願をする産泰講が北関東各地から代参した。ぽっかり生まれるように「ぬけ柄杓」という底を抜いた柄杓を奉納し護符を受けた。また養蚕の神としても信仰されている。例祭には太々神楽（市無形文化財）が奉納される。この神楽は元来神職が舞ったもので，この神主家が群馬県の神楽の家元といわれている。現在は保存会の人々により演ぜられる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7045557